マシュー・サイド著「失敗の科学」を読んだ

本書は失敗の素晴らしさを論じたものだ。

失敗学の類は基本的に失敗事例を並べて、最初に目的の共有が出来なかったのが原因だよね、とか論じるものが多い。基本的に暗い気持ちになる。第二次世界大戦で意味不明な愚かな決断を重ねた日本軍について分析した「失敗の本質」なんかが有名だと思う。

 本書はちょっと違っていて、成功するためには如何に多くの失敗を経験し、その失敗を活かすかが重要だと説いている。大抵の失敗学が失敗しないための議論を中心とするのに対し、成功する為に失敗せよとするのが本書だ。

本書の内容は大まかにまとめると以下のようになる。
1. 失敗を活かした航空産業と失敗を充分に活かせていない医療の比較
2. 失敗を活かせない理由1: 人々は失敗を隠す
3. 失敗を活かせない理由2: 思い込み、信じ込む
4. 成功の為には多くの失敗を重ねてそこから学ぶことが必要だ
5. 小さな進展の積み重ね=マージナルゲインが大きな成功を実現する
6. たくさん失敗する為には成長型マインドセットが必要である


前半までがいわゆる失敗学的な話で、後半こそ本書の魅力だ。

本書を読むと失敗に対する考え方が根本的に変わる。失敗とは素晴らしいもので、積極的に挑戦して失敗を繰り返すべきだと思うようになる。6の成長型マインドセットというのが正にそれだ。失敗を成長機会と捉え、失敗を活かすことを前提に行動できるマインドセット。

彼は人々の失敗に対する考え方には
・成長型マインドセット
・固定型マインドセット
の2つがあると記している。

固定型マインドセットの人は失敗を単に失敗と捉えるので挑戦しないし、失敗を怖がる。怖いから直視できず活かすことができない。一方で成長型マインドセットの人は失敗を成長の機会と捉える。たぶん人によっては失敗であるとさえ思っていない。だから失敗を最大限活かすことができるし、挑戦が怖くない。


エジソンが電球を開発するとき、フィラメント材料としてありとあらゆるモノを試したことについて「私は失敗したことがない。1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」と話したことを思い出すよね。

あなたもこの本を読んで成長型マインドセットを手に入れよう。